2025年12月10日【衆議院 予算委員会】高市内閣の本性は増税・緊縮、学校の労基法違反、再審法の改正

枝野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。大石あきこさん。

大石 れいわ新選組、大石あきこです。
高市総理、税収が過去最高だ、80兆円を超えたということですが、やはり庶民から取り過ぎやということで、その最たるものである消費税について伺います。
パネルの2です。
こちらは消費税収額と消費税還付税額の推移なんですけれども、一番左が2019年度から2025年度、2025年度は見込みですが、その消費税の推移ですね。

2019年度の10月1日から消費税が8%から10%に値上げされまして、そこからさらには物価高も乗って、ぐんぐんと消費税が増えている。直近、2025年の消費税収、このグラフの濃い青い方ですね、消費税収の額の見込みは25.5兆円である。むちゃくちゃ取られているんですね。
この還付金というのは、消費税を広く取引の10%取られるわけですけれども、そのうちの大企業の輸出企業を中心とした減税といいますか、還付、取られていないゾーンがこの薄いところになるんですけれども、それにしても、これだけ網がかかっている。庶民から、全体から吸い上げまくっているという状況です。


高市総理、通告の問い14関係ですけれども、国民経済の現状認識について伺います。
今、本当に、国民生活、高市内閣は見えているのかなと。
直近でいいますと、12月8日に発表した国内総生産改定値でも、GDP年率でマイナスと出ていまして、設備投資、公共投資がマイナスである。そしてまた、実質賃金ですね。12月8日に、直近で10月の実質賃金が出ましたけれども、マイナス0.7%と、10か月連続マイナスなんですよね。国民経済、生活が苦しくなっていると見るべきです。

一方で、消費者物価がずっと上がっていて、直近でも3%ということなんです。これを、もう物価が上がっているから、国債をこれ以上発行したらあかん、そういう政党も与野党にいらっしゃるんですけれども、コストプッシュインフレを引いた部分は1.6%で、まだ財政出動余地もありますし、何よりも消費者物価が上がっているんだから、それこそ消費税を下げたらいいですよね、これだけ取っているんですから。

高市総理、消費税廃止、最低でも一律の5%減税、やってください。質問です。

高市内閣総理大臣 消費税、一律5%減税をやってくださいということでございますが、今、まだ税制調査会で税については議論をしておりますところでございます。
そしてまた、自民党それから日本維新の会の連立の合意には、一律5%減という選択肢はございません。食料品に関して、食料品にかかっている軽減税率について、これは2年間限定して引き下げるということについての選択肢を排除するものではございませんけれども、一律5ということは入っておりません。

大石 消費税廃止もやらなければ、一律5%減税もやらないということは伺いました。

今、高市総理の人気が高いと言われていて、内閣の支持率も高いんやと言われているんですけれども、やはり、まだまだ国民の皆さんがその本性を知らないですよね。
ですから、やはり、違うで、高市内閣は増税、緊縮やないかということを、ちゃんと、はっきりして、国民の皆さんにお伝えせねばいけないなということで、パネルの6です。


先ほど言ったように、これは、12の増税、緊縮リストをピックアップしました。12もあって、本日はこの1から4までお伺いしようと思いますけれども。
先ほど言いました

①、消費税減税はやらず、防衛増税1.1兆円。
それから、

②、高校生の扶養控除縮小。せっかく高校生まで月1万の手当を広げたにもかかわらず、その分、その分ではないにしても、目減りさせるということをやってくる、これは少子化対策にもならない増税ですよね。そして

③、健康保険料に上乗せ負担だと。子ども・子育て支援金、子供を安心して産み育てられるのかなと思いきや、これはタコ足食いで、増税である、負担増であるということですよね。そして

④、介護保険の自己負担を2倍にということで、本当にこれは血も涙もないことで、やめていただきたい。

まず②について。報道で、高校生の扶養控除縮小について、高市総理が何か、別に自分は指示していないみたいなことをXというSNSでつぶやいておられましたよね。これは扶養控除縮小をやってもらったら困るわけで、そういう報道が相次ぐ中で、指示していないとSNSで投稿されているんですけれども、それってつまりはやらないということなんでしょうか。やらないとここで約束していただけますか。

高市内閣総理大臣 私は、高校生年代の扶養控除については、縮減に関する指示を出したものではございません。が、現在、与党税制調査会で議論しています。なぜかというと、一昨年に児童手当の拡充が決定されて以降の検討事項となっているので、与党税制調査会で議論されている最中ということでございます。
政府は、与党における議論の結果を踏まえて適切に対応するということでございます。

大石 続けて聞きますけれども、③の健康保険料に上乗せ負担も来年4月から実施で、また社会保険料の上乗せになるんですよね。

これは、でも、岸田政権の頃に決めたやつじゃないですか。増税眼鏡と言われて、ちょっとステルス的に潜り込ませて、高市政権が支持が高いからということで、来年4月からどさくさ紛れに実施。

段階的に上げて、月950円ぐらいまでの負担になりますので、こんな増税もやめていただきたいんですけれども、やめていただけますか。

高市内閣総理大臣 一昨年に決定しました3.6兆円規模のこども未来戦略の加速化プランにつきましては、子ども・子育て支援法等改正法などに基づいて、令和6年10月からの児童手当の拡充など、既に8割強に当たる3兆円が実施されています。
その財源の一部として活用される子ども・子育て支援金制度は令和8年4月からの実施が予定されていますが、改正法において、支援金は社会保障の歳出改革による社会保険料の負担軽減の範囲内で導入することが規定されております。支援金の導入による実質的な負担は生じないと考えております。

大石 決まっているからやるんだと言っていて、どこが積極財政で、どこが責任ある積極財政なのか。

岸田総理のときに怒られたから眠らせていたやつ、結局、支持率が高いときにやりますみたいなことだったら、どこが積極財政なんでしょうか。

特に、この④、今から御説明しますけれども、本当にお年寄りが生きられなくなるような自己負担2倍というのを方向づけるのは絶対やめなきゃいけない。やめてください。

介護保険の自己負担を2倍にというのが、これは、何か今、若い人とお年寄りが対立させられているというか、若い人が負担が多いんや、お年寄りのせいで、だからもっとお年寄りから負担させようということを、それは与党もそうだし、一部野党もそうだし、メディアもそうだし、そういうことをすごいあおっているんですね。

でも、現実のお年寄りの生活、それを支える現役世代の生活というのは全く違うものでして、この自己負担を2倍にというのをどこに広げるのかというのが、年金などで暮らしている年収230万円以上のお年寄りなんですね。そこの介護負担を倍増させるということなんですよ。

元々、280万円の年収の方に自己負担2割にしていて、それも鬼やなと思いますよ。そこを230まで引き下げて、もっと増やしていこう、この辺、230万円年収のお年寄りまでは比較的裕福なお年寄りということにしておこうという。でも、現実は違うでしょう。年金を入れてというか、主に年金で食べている方が年収230万円で、こういう、倍になっちゃう。

倍になるというのはどういうことか。例えば、訪問介護とかデイサービスとかを受けておられる方、月1万円ぐらいの負担やったら月2万円の負担になるんですよ。施設とか通っていて、月3万円ぐらいの負担やったら月6万円になるんですね。普通に考えて払えないじゃないですか。なのに、35万人が最大その影響を受けると言っていて、まず払えないし、それは現役世代の家族にもツケが行くわけですよね。
これ、やめていただけませんか、総理。

高市内閣総理大臣 今、一方的にいろいろお話しになりましたが、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程に基づいて、厚生労働省の審議会で議論をいただいております。現時点で、具体的な見直しの内容が定まっているものではございません。

大石 定まっていないんやったら、絶対やめていただきたいんですよ。パネル07ですね。


非常にグロテスクだなと思うんですね。

ちょっと、どういうことかというと、左側が先ほど言ったやつ、国民の負担増で、このお年寄りいじめ、年収230万円以上のお年寄りを比較的裕福だと見立てて倍増させる、自己負担を2割に倍増させるんですけれども、それで国がどれだけ節約できるかというと、保険料が40億から110億円なんですって。

右側と比べてえらいグロテスクやなと。

防衛費、アメリカ、対米貢献ですね、これと全然桁が違うんですよ。今回の補正予算でも防衛関連補正予算1.1兆円積まれていますが、110億円と1.1兆円、何倍違うでしょうか。100倍違うんですよね。

それだけやないんですよ。今回、補正予算で3700億円、JBICなどの財政基盤強化につぎ込まれますけれども、その背景にあるのは対米投資80兆円、3年間でと。こんな、80兆円、今、円安で85兆円までになっているんです、5500億ドルだから。

そんな100兆円レベルの、お年寄りから搾り取った額と、この桁、比べてみてください、1000倍違うんですね。

私は国会議員になって4年になるんですけれども、やはり日本にはすごい階級が存在するなと。国会の外で一生懸命生きているお年寄りだったり生活者だったりは、2万円、1000円とか100円単位で生きてはって、その方々から、あなたたちは比較的裕福だといって、搾り取れて数十億から110億円とかでしょう。

でも、右側の数字、防衛予算、アメリカにつけろよとか、アメリカ、トランプに対米投資しろよと言われて、全然もう桁違いじゃないですか。それで、補正予算で財政基盤強化3700億円と、3700でしょう。

でか過ぎるから、相場が高過ぎるから、もう下の方の100億円程度なんて切り捨てていますよね。でも、その100億円とかをこうやって国民負担増で搾り取っているわけでしょう。

それ、どこが責任ある積極財政なんですか。本当にグロテスクだなと思うんです。
だから、私たちは、れいわ新選組は、補正予算の組替え動議をあした出します、その案が01なんですけれども。


やはり、今、国民経済が、前段でも、冷え切っている、ぼろぼろになっている、特に国民一人ひとりの生活がむちゃくちゃなんやと、そういう状況の中で、高市さんは何かやってくれそうだ、増税眼鏡とは違う、石破さんとは違うという期待感の中で、やっていることは増税なんですけれども、

そこを、そうじゃなくて、全然そうじゃなくて、国民一人ひとりがちゃんと生きていけるものに変えていかなきゃいけないんです。それで、この組替え動議を積み上げました。(発言する者あり)

すごいでしょう。特例公債58兆円、こうやって、野党の方々もすごいねと。ある意味、せせら笑うんですよ、ほら、こうやって笑っているでしょう。

だけれども、あなたたちが今日も、立憲も一生懸命言うてはりましたよね、介護のお金が足りないんだと、障害にはつかないだろうということを追及されていて、真っ当なことやと思いますよ。

だけれども、そもそも、その立憲の方々も平場に出られて、介護現場に出られて、立憲の、月給1万円の賃上げで足りるかとかいう話をされて、もうそれは焼け石に水やでという話をされているという話をしていたでしょう。

だから、全産業平均月8万円差があるんだから、そこを変えていかなきゃいけないと、それは立憲の議員も言っていたでしょう。だけれども、これを見て、多過ぎるなと笑うという、やはり、そういう国会でいいんですか。

もっと外の、国民が萎縮するだけですよ。

もっと国民が、生きていけない、介護の賃上げを10万円やって当たり前やと言える社会でなきゃいけないし、国会の中でないといけないんですよ。

れいわは積み上げました。だから、それぞれの野党が、それぞれの委員会とか、今日も、これはやらなあかん、やらなあかん言うてた概念、それをちゃんとお金に積もうとしたらこうなるんですよ。

この一例として、今、教員1.5倍増員、0.76兆円積んでいます。これは、本当に高市さんが何かやってくれる、責任ある積極財政をやってくれるという現状とは全然違うので、教員1.5倍増員積みました。なぜならば、学校現場で労基法違反状態が続いているからです。

文科大臣にお伺いしますからね。
今、学校の先生は、1分も実際は休憩を取れていないんですよね。これは労基法違反なんですよ。労基法で、学校の先生は少なくとも45分の法定の休憩時間を取らせなければいけない。しかし、休憩時間も取れていないし、サービス残業ですね、時間外在校等時間という概念を持ち出されて、公立学校の先生は残業代が支払われない状況になっています。せめて労基法ぐらい守りませんか。

文科大臣にお伺いします。2022年に教員の勤務実態調査が、文科省が行いましたね。そこで休憩時間も調査しているんです。その休憩時間自体は労基法の定義にも当てはまらない雑なものも足した数字ではあるんですが、小学校の先生、10月、11月の休憩時間が23分だったんですよね。

これはオフィシャルの、文科省の調査です。法定で45分の休憩が義務づけられているんですから、雑多なものを足して23分だったら、これは労基法違反ですね、大臣。

松本(洋)文科大臣 大変、教員の皆さん、厳しい環境の中で大変……

大石「短めに答えてください」と発言)

はい、崇高な職務に就いていただいておりまして、心から敬意を表したいと思いますし、また、委員の御指摘というのは、ちゃんと休憩時間を取らせたい、そして労働条件を改善したい、そういう御趣旨だというふうに承知をしているところであります。
労働基準法で定める休憩時間は、使用者が労働者に権利として労働から離れて自由に利用することができる時間を指し示しており、同法34条により、校長等には、教員に対しこの休憩時間を与えることが義務づけられています。
一方で、ご指摘の令和4年度教員勤務実態調査は、校長が教員に休憩時間を与えたかどうかではなく、実際に業務から離れたと回答した時間がどれぐらいあったかを教員の自己申告により調査したものであり、仮に休憩時間中に教員の判断で業務に関係する作業などを行った場合には、調査には当該時間は申告されていないと考えられます。
つまり、そういう意味では、いわゆる労基法上の休憩時間という調査ではなくて、実際に教職員の皆さんがどういう実態なのかということを調査をしたということでありまして、ここに大きな差があるというふうに考えております。
したがいまして、自己申告の時間が45分を下回っていることのみをもって校長が休憩時間を与えていないといった労働基準違反であるとは直ちに言えるというものではないということであります。

(大石「委員長、長くないですか」)

枝野委員長 聞かれたことに端的にお答えください。

松本(洋)文科大臣 はい。
ということで、これをもって、校長が休憩時間を与えていないといった労働基準法違反であるとは直ちに言えるものではないと考えております。

大石 ほんま、もういいかげんにしてくださいよ。
国会の外の人たちは、公立学校の先生が、公立だけじゃないけれども、学校の先生が休憩なんか取れていないとみんな知っていますよ。
労基法の調べとちゃうんやみたいな話、それは、先週私が文科委員会で、その調べはあかんで、労基法に基づいた調査じゃなくて雑多なものが含まれているでと私が言ったんですよ。でも、それを逆に取ってというか、そんなの通用しませんよ。いや、手を挙げなくていいですよ、手を挙げないでいいですよ。逆にして、労基法違反やないとかね。

じゃあどうなの、実際に1分も取れていないやん、学校の先生。

いや、もう手を挙げぬでいいですって。

給食の時間だって、あれは学校給食法に基づいて、休憩時間じゃないんですよ。学校の給食の指導もしないといけないし、安全配慮義務もあるから、だから、学校の先生なんか、本当に休憩を取れていないんですよ。その事実も認めずに、労基法違反とは言えない、だけれども、学校の先生の勤務の実態を把握するための調査だなんて、もう通用しません。手を挙げないでください、高市総理に聞きたい。

高市総理、この文科大臣とのやり取りを見ていて、やはり、学校の先生に、この労基法違反、休憩を取れていないという現状、改善したいと思いませんか。このような文科大臣の姿を子供たちに見せたら恥ずかしいでしょう。ちょっと、何をやっているんですか。私が質問したら……

枝野委員長 大臣に対する質疑の場ですから。今は文部科学大臣に聞いていません。
高市内閣総理大臣、端的にお答えください。

高市内閣総理大臣 文部科学大臣に答弁をさせます。

枝野委員長 文部科学大臣松本洋平さん。

大石「ちょっと待ってください、ちょっと待ってください」)

松本(洋)文科大臣 委員長の御指名をいただいたので、お答えを……

大石「でも、委員長、ちょっと待って。私は、このやり取りを見て、高市総理に」)

枝野委員長 総理にお尋ねになったことを、総理が文部科学大臣に答えさせますとおっしゃいましたから、文部科学大臣にまず答えていただきます。
松本洋平文部科学大臣。

松本(洋)文科大臣 これは文部科学省の所管でありますので、是非私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
これは、今おっしゃったように、そこの間にそごがあるということは、私どもとしても大きな課題であるというふうに受け止めているところであります。
ですので、今年の9月の指針に、そうしたことをしっかりと改めて指示をしているところでもありますし、また同時に、その調査に関しましても、今後毎年度、文部科学省が教育委員会向けに実施する調査において、各教育委員会が所管の学校における休憩時間の確保のためにどのように取り組んでいるかを把握する予定としているところでありまして、調査結果をしっかり分析してまいりたいと存じます。
先ほど、できればこれも一緒に答弁をしたかったところであります。

大石 いや、もう真っ黒なのに、そんな答弁をセットでしたからって免罪なんかされませんよ。そのために私の時間を使わないでください。
高市総理に、こういうやり取り自体が恥ずかしいと思わぬかということを聞きたかったんですよ。だって、国会の外で、学校の先生の現場は労基法違反そのものやってみんな知っていますから。なのに、実態調査って、もう本当に寒いだけですよ。

時間もあるので、次に行きます。

再審法の改正についてこれは必ず聞いておきたいので、高市総理に伺います。
再審法の改正について、再審制度というのは裁判のやり直しのこと、再審ですね。無罪なのに、無実なのに有罪という判決が確定した冤罪の、被害者を救う最後のセーフティーネットが再審制度なんです。

だけれども、今の再審制度、今の法律体系のままでは冤罪被害者を迅速に救うことができません。

冤罪で有名というか、多くの人が知るのは袴田(はかまた)事件ですね。

1966年、静岡県で一家4人を殺害したと無実の罪を着せられた袴田巌さん、死刑囚として48年間も拘束されて、去年やっと無罪が確定したんですけれども、今89歳なんですよね。

なぜ、無実の袴田さんが、このように48年間も死刑囚として拘束されなければならなかったのか。

これはもう絶対あってはならないことだから、このメカニズム、ちゃんと構造問題を把握して、そこに対応する再審制度に変えなければいけないんですよ。

まず、激しい取調べでうその自白をさせられて、強要させられたんですね。

でも、その後一貫して無罪を主張して、だけれども、長期的に拘束されてしまう大きな問題として、検察によって証拠が捏造されて、しかも証拠が隠されてしまう、そして、証拠開示までに時間がかかったということがあります。

そして、次のハードルが、再審開始が決定しても、検察の不服申立て、特別抗告が禁止されていない、そこで特別抗告されて時間稼ぎされてしまうんですね。袴田さんの場合も、再審開始決定から確定まで9年かかっているんですよ。

地裁で再審決定がなされたけれども、そこで特別抗告を検察にやられて、上位の高裁に行って、また地方に戻って、そして確定まで9年かかっていて。ほかの事件ではもっとかかっているんですよね。もっと引き延ばされてしまったものもあります。

だから、この次、刑事訴訟法の再審制度で必ず書き込まなければいけないところというのは大きく2つ、検察に証拠開示させる、これをルール化することと、あと、検察の特別抗告を全面禁止、不服申立てを全面禁止するということが絶対に必要なことなんですよ。

御存じのように、議員立法がもう既に6月に提出していまして、その2点を満たす議員立法が既に提出済みです。これは、臨時国会でも自民党が認めないということでボトルネックになっているようなんですよ。でも、審議入りしていただきたいんですね、自民党には。

だから、高市総理には、自民党の党首、総裁としてこれを受け止めて、扉を開いていただきたいんですけれども、議員立法じゃなきゃ駄目なんですね。

現在、法制審議会でこの再審制度の見直しを進めちゃっていますよね。しかしながら、これは大問題で、今言っていた必要な部分を満たさないんですよ。

証拠開示のルール化と、これは、ルール化と称しながら、証拠をむしろ出さないでいいような制度化として議論されているし、特別抗告も全面禁止とはなっていないんですよね

だから、その法制審議会の委員になられている方が、この月曜日、12月8日に、議員立法を出した再審法改正議連の総会に来られて、必死の訴えをされているんです。扉が閉められようとしているんだ、法制審議会での議論で出された法案では駄目なんだ、議員立法で出されている法案じゃなきゃ冤罪被害者は救済できないんですということを必死に訴えておられたんです。

これはやはり、国家が冤罪被害者という筆舌に尽くし難いような人権侵害をやっちゃっていることですから、政府の責任として、あるいは国会の責任として変えていかなきゃいけない、それで議員立法も出した。なのに、自民党がボトルネックになって審議入りもできないとあっては、そして裏側では、骨抜きというか、むしろ改悪になるような法制審議会での議論が進められていて、12月16日にはもう3巡目の議論、取りまとめの議論すらなされようとしているんですね。だから、これを止めて、議員立法の既に提出済みの法案を前に進めなければいけません。

これは、総理ではなくて、高市早苗さんという国会議員、そして自民党の総裁にお伺いしますが、これは決断していただきたい、議員立法で前に進めることを決断していただきたい。いかがですか。

高市内閣総理大臣 私自身は、再審制度の在り方の見直しに積極的な立場でございます。そのため、総理大臣補佐官として松島さんにも専門的に手伝ってもらっております。その上で、もう法務大臣には必要な検討を行うように指示もしております。ですから、政府の責任で検討を進めたいと考えております。
議員立法、議員提出法案を提出されたということでございますので、その取扱いは国会において御判断いただくべきものであると思います。私自身は、内閣総理大臣ですから、国会でその法律案がどう扱われるかということについて、こうすべきだと申し上げるわけにはまいりません。

大石 再審法、見直しの立場やとおっしゃるんですけれども、今までの答弁を聞いておりますと、あくまで法制審議会での法案のお立場なのかなと思うんですけれども。
だから、しっかり2点確認したいんです。

やはりこの2点を外しちゃ駄目なんですよ。

証拠開示ルール、ちゃんと証拠が開示されるということによって新証拠が出て、無罪の判決につながっていきますので、証拠開示ルールがビルトインされなければいけないと考えていますね、これが1点。

もう一つは、検察の特別抗告の全面禁止ですね。全面禁止しなきゃ、実際に袴田巌さんで9年、ほかの方々でもたくさんの時間がかかっていますので。

その2点、証拠開示のルールが必要だ、検察の特別抗告は全面禁止が必要だ、ここは合意されていますか。

高市内閣総理大臣 既に法務大臣に検討を指示していると申し上げました。
法務省から政府参考人がおいでだと思いますので、答弁をお願いします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。
再審制度の在り方については、現在、法制審議会において御議論いただいているところでありまして、今その方向性などについて現時点でお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
その上で……

(大石「だったら、もういいですよ」)

枝野委員長 端的にお願いします。

佐藤政府参考人 はい。
今お話しになった再審開始決定に関する不服申立てについては今御議論がなされていまして、議論の状況ということだけお答えした方がよろしいでしょうか。

(大石「いや、もう結構です。いいです」)

はい。

大石 法制審議会がいくら言い訳しようとも、やはり、このことに長年関わってきた専門家のことを申し上げますね。あなたも聞いてください。

これは、12月8日の議員連盟の総会で、ずっとこの冤罪、再審法の研究をされてきた方による発言です。

この10年間で、すなわち、法制審議会で行われている議論は問題があるということをたくさんの専門家の方が警鐘を発しているというものです。この10年間で再審の論文を書いたことのある、再審を研究している研究者19名、検察官の不服申立てについて、全員が禁止すべきだと回答した。

いかに法制審の6名の研究者委員が再審の専門家の見解とは乖離しているかということが数字の上で如実に表れています。また、その後に、刑事法の研究者が135名の連名で声明を発しています。その後、今度は元裁判官、なかなか発信をふだんはされない元裁判官が63名、今の法制審の議論では駄目だと記者会見まで開いた。こうした約200名もの再審問題の専門家が、法制審の議論では駄目だ、議員立法でやるべきだと言っているんですよ。

なのに、なぜ、その負託を受けた議員立法が何で進まないんですか。非常にもどかしいですね。

もう亡くなった方もいらっしゃいます。石川一雄さんという方。この方のお連れ合い、早智子さんが、再審請求、支援者の皆さんとやっています。本日も国会議員に回られていまして、再審法を改正してくれ、もう時間がないんだということを訴えられています。

また、大崎事件の原口アヤ子さんという方、再審請求人で、98歳なんですよね。来年の1月から第五次請求をしています。この方、再審開始決定が出ている事件なんですよ、なのに、検察の不服申立てで取り消されたことで、98歳になって、また一から出直しを来年しなきゃいけないんです。この方が生きているうちに検察官の抗告禁止にならなかったら、無罪はかち取れないんです。

そういう切実な状況だということを分かっていただきたい。

法制審議会がいろいろ説明できることはあると言っているけれども、そこの審議会で委員に入っている方がこのことをおっしゃっているんですよ。

だから、法制審議会の議論を待つ、議連の立法、もう提出までしているのに止めるじゃなくて、扉をこじ開けていただきたいんです。

もう一度お伺いします、高市自民党総裁に。検察官の特別抗告全面禁止、これは必要ですね。

高市内閣総理大臣 再審制度の在り方は、法制審議会において御議論いただいているところでございます。先ほどから法制審議会をあしざまにおっしゃっていますけれども、大変重みのある審議会でございます。
そして、再審制度の改正というのは、基本法である刑事訴訟法の改正にも関わるもので、刑事裁判実務に非常に大きな影響を及ぼすものであるからこそ、政府の責任において検討を進めようということで、法務大臣に指示をしております。
議員立法の扱いについて内閣総理大臣が、国会での取扱いについて内閣総理大臣が意見をすることはございません。

大石 自民党総裁としてお伺いして、御自身が答えたいことは自民党総裁として回答もしていますよ。でも、ほかの委員のやつでも、都合の悪いやつは、自民党総裁としてと聞いていても答えない、そういう態度であったと思います。

冤罪事件にたまたま出会った人で、行動している人たちがたくさんおられるんですよね。

先ほど、たくさん、200名の専門家の方も今声を上げている、このチャンスを逃してはならぬと声を上げていると言っていましたけれども、袴田事件一つ取っても、たくさんの方が、使命を果たさなければいけないということで、個人の人生よりも優先して自分の職務を果たしているんですね。

たまたま冤罪事件に出会った人、警察の証拠捏造を大きく裏づけたDNA鑑定の法医学者の方とか映画監督の方とか記者の方々とか、そういった、冤罪事件を含めて、やはり、国の決定に逆らったら、干されたり弾圧されたりするじゃないですか。

だけれども、その方々は、冤罪事件に出会ってしまったから自分はもう引けないんだ、やはり新しい日本の扉を開けなきゃいけないんだということで、一旦個人的な人生よりも、おいて、自分の職責、職業の使命を果たそうといって立ち上がっておられるんですよ。

私は、それがこの国の日本の希望だと思います。それとすごくギャップのある本日の内閣の答弁であったと思います。引き続き追及していきます。
終わります。

※衆議院、予算委員会 会議録より転載。大石あきこ事務所にて編集

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以下は、時間切れで扱えなかった対米投資80兆円に関するパネルです。

 

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