2025年10月29日【質問主意書】介護支援専門員の更新制度及び処遇確保策に関して

2025年10月29日に、介護支援専門員の更新制度及び処遇確保策に関して質問主意書を提出しました。

介護支援専門員の更新制度及び処遇確保策に関する質問主意書

2025年11月11日に、政府の答弁書が送付されました。

衆議院議員大石あきこ君提出介護支援専門員の更新制度及び処遇確保策に関する質問に対する答弁書

質問と答弁が別ページになっていて読みにくいので、
以下、わかりやすくするために、冒頭に「まとめ」を入れ、質問答弁を1対1に並べました。

【まとめ】

大石あきこ事務所が令和7年9月に実施したケアマネ実態調査アンケート(有効回答約400件)を集計し、作戦会議でご意見をいただき、介護支援専門員(ケアマネ)の更新制度、処遇の確保について質問しました。
前文に現場の声を抜粋しているので、そこだけでも読んでください。
答弁は、厚生労働省の審議会で議論中であり「引き続き検討」「現時点で予断を持ってお答えできない」という塩対応ですが、
現場で働くみなさんの声で、大きく押していきましょう。
引き続き、アンケートも集めていますので、ご協力お願いします!報酬アップ、研修無償化も争点に押し上げましょう。
各答弁について、★印でツッコミを入れています。

【大石あきこ質問主意書】
我が国においては、高齢化の進展により、介護サービス需要が増加する一方、介護支援専門員(以下「ケアマネ」という。)の従事者数は横ばいから減少傾向にあり、今後10年以内に担い手が急減することが厚生労働省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」(以下「検討会」という。)でも指摘されている。
検討会の中間整理(令和6年12月12日)では、
「高齢者が抱える課題が複雑化・複合化しており、ケアマネジャーの役割の重要性は増大している」
「ケアマネジャーの従事者数は減少傾向にあり、人材確保・定着が喫緊の課題である」
「他産業・同業他職種に見劣りしない処遇の確保が必要である」とされている。

一方で、現場のケアマネからは、報酬の低さ・過重業務に加え、法定更新研修の時間的・経済的負担により業務を続けることが困難だとの意見が多い。
大石あきこ事務所が令和7年9月に実施したケアマネ実態調査アンケート(有効回答約400件)(以下「アンケート」という。)では、次のような意見が多数寄せられた。
現場の声(アンケートより抜粋)
・更新研修が時間と費用の負担になっており、人材流出の最大要因になっている
・他の国家資格にない更新制度をなぜ続けるのか
・更新研修のために休みを取らざるを得ず、仕事と両立できない
・報酬が低すぎて生活できない。主任資格を取っても手取りが変わらない
・処遇改善を最優先に。書類業務が多すぎて現場が疲弊している
・資質向上は重要だが、更新制度とは切り分けてほしい
・国家資格化し、他職種と同等の地位と報酬を
・ケアマネ不足で担当を多く持たざるを得ないが、多く持つと研修の時間が取れず、報酬単価も減らされる悪循環になっており、続けられない
これらの声は、制度の限界を訴える現場からの警鐘であり、抜本的な見直しが急務である。
以上を踏まえ、質問する。

一 他の医療・福祉の国家資格には存在しない更新制度をケアマネにのみ義務づけている合理的理由を示されたい。現場では「更新研修が離職の最大要因」との指摘が多数あり、制度の持続性を損なっている。

(答弁)一について

御指摘の「更新制度」については、必ずしも御指摘のように「他の医療・福祉の国家資格には存在」せず、「ケアマネにのみ義務づけている」ものではないが、いずれにせよ、御指摘の「ケアマネ」の「更新制度」については、「介護保険制度の見直しに関する意見」(平成16年7月30日社会保障審議会介護保険部会) において、「介護保険制度によって実現されたサービスの多様性を尊重しつつ、・・・ケアマネジメントの体系的な見直し・・・を進め、「サービスの質」に基づいた、適切な選択と競争が行われる方向を目指す必要がある」、「ケアマネジャーについては、まず、専門性の確立の観点から、一定の範囲内での現任研修を義務化するなど研修の強化を図るとともに、基準や報酬と連動した研修・資格の体系的見直しを行う必要がある。また、資格要件についても更新制を導入し、更新時の研修を義務づけるなどの見直しを検討する必要がある」等とされたことを踏まえ、導入したものである。

★「ケアマネにのみ義務づけている」ものではないと言うが、研修を受けて更新しないと資格を失う=仕事ができなくなるという国家資格は他にあるでしょうか。
主だった国家資格(看護師、医師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士など)には、そのような更新制度はありません。かろうじて、救命救急士の認定研修が似ているかもしれません。
専門性の確立はすべての資格に必要なはず。答弁は、平成16年当時の経過の説明でしかなく、残念です。

二 令和7年10月27日の社会保障審議会介護保険部会でも更新研修の負担を課題とし、「更新研修の受講を要件とした介護支援専門員証の有効期間の更新の仕組みは廃止」という方向性も示されたところであるが、更新制度そのものを廃止すべきではないか、政府の見解を示されたい。

(答弁)二について

お尋ねについては、厚生労働省において、引き続き、社会保障審議会介護保険部会における議論も踏まえながら、具体的に検討することとしている。

★ここは、「引き続き、検討」とかわされました。

三 法定研修は資質向上のためと説明されるが、そのためには、地方自治体任せではなく、研修を無償にするなど国による支援が必要ではないか、政府の見解を示されたい。

(答弁)三について

御指摘の「国による支援」については、令和7年3月10日の参議院予算委員会において、福岡厚生労働大臣(当時)が「厚生労働省としましては、昨年12月の検討会の中間整理も踏まえまして、・・・オンライン受講の推進など、まずは受講者の方々の負担を大幅に軽減する方策について検討を進めるとともに、受講に当たっての経済的負担につきましては、都道府県における地域医療総合確保基金の活用についても改めて周知をしていきたい」と答弁しているところ、厚生労働省において、例えば、「受講者の方々の負担」の「軽減」については、同年10月27日に開催された第127回社会保障審議会介護保険部会において、資料2「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」の「論点③ ケアマネジャーの更新制・法定研修の見直し」の「論点に関する考え方(検討の方向性)」として、「研修の受講方法について、一定期間(例えば5年間) に分割して受講するなど柔軟に受講できる環境整備を行うこと」等と確認されたことも踏まえながら、具体的に検討するとともに、「受講に当たっての経済的負担」についての地域医療介護総合確保基金の活用の「周知」については、同省において同年3月に開催した令和6年度全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(★※1)等において行っており、御指摘のように「地方自治体任せ」とは考えていない。

★ケアマネの更新研修は費用負担が非常に大きいのが現状です。
10月27日の社会保障審議会介護保険部会の資料2(※2)を見ると、更新研修(経験者・初回)は、研修時間で88時間、費用も平均で6万円以上となっていることがわかります。負担が大きすぎます。
せめて、研修費用は無償にすべきなのに、厚生労働省の検討の中に、経済的負担の軽減がありません。政府は、「地域医療介護総合確保基金の活用」をと答弁していますが、基金を活用している都道府県でも、5万円以上がほとんどです。
基金は、国費2/3、都道府県1/3の負担であり、都道府県の財政事情に規定されて負担軽減はほとんど進んでいません。「周知」するだけでは、「地方自治体任せ」でダメ。
※1、※2は、一番下に資料を掲載します。

四 検討会の中間整理は「他産業・同業他職種に見劣りしない処遇の確保」を求めている。アンケートでも「報酬が低すぎて生活できない」「担当件数を増やさなければ収入が上がらない」との声が圧倒的である。人材の確保のためにも、資質向上のための研修時間を確保するためにも、臨時の報酬改定を行うべきではないか。どのように処遇の確保を行うか、政府の見解を示されたい。

(答弁)四について

お尋ねについては、令和7年6月18日の衆議院厚生労働委員会において、福岡厚生労働大臣(当時)が
「地域の医療、介護、障害福祉サービスの確保に向けて必要な人材を確保する観点からも、賃上げは喫緊の課題だというふうに認識をしております。・・・先日閣議決定されました骨太の方針2025におきましても、医療、介護、障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある、介護、障害福祉分野の職員の他職種と遜色ない処遇改善等に取り組むとともに、これまでの処遇改善等の実態を把握、検証し2025
年末までに結論が得られるよう検討する、社会保障関係費について、高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済、物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算するとされたところでございます。
この骨太の方針2025も踏まえまして、今般講じております施策の効果を把握しながら、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるように、的確な対応を行ってまいりたいと考えております」
と答弁しているとおり、「2025年末までに結論が得られるよう」、令和8年度予算編成過程において検討することとしており、現時点で予断を持ってお答えすることは困難である。

★「これまでの処遇改善等」の取り組みから、ケアプランセンター(居宅ケアマネの事業所)は除外されています。これまでの延長では処遇の確保がまったくできません。
ただ、「現時点で予断を持ってお答えすることは困難」ということは、ケアマネも処遇改善策の対象になる可能性もあるということでしょうか。
現場で働くみなさんの声が、後押しになります。大きな声をあげていきましょう!

※1 令和6年度 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議
認知症施策・地域介護推進課(P41)
7. 介護支援専門員の資質向上等について
(2)介護支援専門員の法定研修等
介護支援専門員の法定研修については、ケアマネジャーの資質を確保・向上し、利用者にとって適切な介護サービスを提供するために重要であるが、一方で、受講者にとって負担が大きいという課題があるところであり、・・
各都道府県におかれても、まずは、既存の制度の中で、できる限りの受講負担の軽減に努めていただきたい
経済的負担の軽減については、地域医療介護総合確保基金において、研修を実施するために必要な経費を支援することで受講料の軽減につなげるためのメニューを設けている。

★「地方自治体任せ」そのものやろ!

※2 10月27日の社会保障審議会介護保険部会の資料2

★「資格継続を希望するもの」は初回88時間もの研修時間が求められている。

★「地域医療介護総合確保基金」を活用しているところ(赤字)でも、受講費用は高すぎませんか。更新研修(経験者・初回)はだいたい5万円以上しています。
東京都は2024年度より3/4を補助する仕組みのようですが、人材確保のためには、国が全国一律で負担軽減・無償化をすべきです。

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